遺産分割協議とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を法律で決められた相続人が全員参加して相続財産の分け方を協議して合意をすることです。原則(法定相続人が1名である場合を除き)、遺言書がなければ遺産分割協議での合意がなければ遺産分割することはできません。
遺産分割に期限はありませんが、2023年4月1日から施行された民法改正により特別受益(特定の相続人だけが、被相続人から生前贈与、遺贈、死因贈与等をされた利益)と寄与分(被相続人の生前に財産の維持または増加に関して、一定の貢献をした相続人に相続分を増加させる制度)について、相続開始の時から10年を経過すると主張できなくなりました。また、遺産分割協議がまとまらず10カ月が過ぎてしまうと、相続税の申告と納税の期限に間に合わず無申告加算税や滞納税を支払わなければなりません。さらに未分割で相続税申告をした場合、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えないため納税額が多くなります。
遺言をのこし遺言執行者を指名することで争いを回避
遺言執行者とは、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権限と責任を有する者のことをいいます。遺言執行者の定め方は…
①遺言で指定する
②遺言で遺言執行者を指定する人を指定する
③遺言者死亡後に家庭裁判所にて遺言執行者を選任してもらう
という方法があります。
遺言執行者を指定しておかないと、遺産分割に不服のある者の介入や妨害をはじき返せず、指図する人が多くなり、混乱して物事がうまく進まないという事態になり、いつまでたっても遺産分割ができず時間が過ぎてしまいます。しかし遺言執行者を定めておけば、非協力的な相続人や音信不通の相続人などの協力を得ることなく、単独で遺言内容の実現(例えば相続不動産の移転登記)を図ることができます。
遺言執行者に第三者を指名するメリット
①親族間での紛争を防ぐ
遺言書があり、一人の相続人が遺言執行者に指名された場合、遺言執行が円滑に進まず不満を訴える相続人や、遺言の内容に不満を持ち仲違いしている相続人から在らぬ疑いをかけられ親族間での紛争に発展する可能性があります。この場合、遺言執行者を相続人とは関係のない立場の者に選任しておけば、中立の立場で相続の手続きを行うので、不公平感や不満を調整できる効果が期待でき、相続人間の争いが起きにくく、上記の様なトラブルを防ぐことができます。
②多岐にわたる相続の大事なお手続き…間違いを防ぎ負担を軽減
遺言執行者の役割として、相続人の調査(相続人を確定させるために多くの戸籍謄本を集めなければならない)、財産目録の作成、相続財産の管理、不動産の相続がある場合所有権移転登記、相続財産の換価など法律の知識が必要なことが多く、慣れていない一般の方にとっては相当の時間を要する作業になり、かなりの負担になります。相続手続きに慣れた遺言執行者を選任しておけば、相続人が面倒な手続きを行うことなく、迅速に遺産を取得することができます。
遺言書の必要性~元気なうちに~(認知症問題)
生涯をかけて築き上げた大切な財産を相続人間の争いごとの火種にならないようにするために有効な手段となるのが遺言書を作成することです。生前に遺言書を遺しておけば遺産分割協議を設けることなく、原則として遺言書に従って相続手続きを進めることができます。相続人の中に認知症の者がいれば遺産分割協議が無効になってしまうので、このような事態も防ぐことができます。
相続の専門家を遺言執行者に指定するのであれば、生前の元気なうちに(認知症になってしまうと遺言を遺せなくなってしまう)遺言書を作成しなければなりません。
テトラは遺言書の作成もサポートしており、遺言執行者としての経験も多く持っています。遺言書の作成と遺言執行者の選任を同時にいただくことによって、ご本人様の遺言内容を事前に把握し、ご希望に沿って進めていくことが実現できるので、相続がよりスムーズに行うことができます。
また遺言執行者の復任権が平成30年に改正されたことにより、いままではやむを得ない事由もしくは遺言に別段の定めがなければ遺言執行者から第三者に委任することはできませんでしたが、改正後はこれらの要件がなくとも委任が可能になりました。(ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは除く)遺言執行者に指定された当事者様、遺言執行者の委任をご希望の方のご相談も受け付けております。ご相談は無料ですのでお気軽にお問合せ下さい。
